皆様、人生お疲れ様です。
現在、「お仕事」をされている方は、良いこともあれば様々なトラブルによって日々悩んでいる方もいらっしゃることかと思います。
そして、私も仕事において日々悩んでいる人の一人です。
そんな私がある事をきっかけに仕事がとても前向きになれたことがあり、
今回は、是非皆様にその私の実体験をお伝え出来ればと思います。
特に接客関係で悩んでいる方、必見です!
やり甲斐のあるはずの仕事?
先ずは、私のお話をする前に、現在の私のお仕事に関して少しご紹介させていただきましょう。
現在私は、お菓子の販売員をしております。
販売員となると、ただ商品を売るだけと思われがちですが、
その日の予算を達成する為にお客様に積極的にこちらから働き掛け、売上を上げていく事が主な目的となります。
なので、こちらからお客様へのアプローチを失敗してしまうと売れないどころかクレームにも直結してしまう為、こちらもそれなりの緊張感を持ってお仕事をしております。
私としては、お客様に喜んでご購入いただいた時はやり甲斐を感じますが、売上が低かったり、嫌なお客様と当たってしまったりする時などは精神的にきつく感じる為、日々のお仕事において気が滅入ることもあります。
そんな中、ある日私はお客様にクレームを受けてしまいます。
私のお店では売っている商品の試食を店頭にて配っているのですが、その試食を食べるだけが目的の所謂「試食魔」と呼ばれる方がいらっしゃり、その方が見えた時は、試食をサッと隠すのです。
そして、私もそのお客様が見えた時には気付かれないように隠すのですが、
運悪くそのお客様に隠すところを見られてしまい、「何で隠すんだ」と言われてしまったわけです。
その時は、テキトーに「試食の補充をする為」と嘘をついて、仕方なくお客様に試食を渡しましたが、そのお客様としては納得がいかなかったらしく、「隠したんだろ」とまくし立ててきました。
幸いにも、近くに居た商業施設の責任者の方が間に入ってくれて、そのお客様には何とか帰っていただきましたが、私は自身が思っていた以上にその出来事に深く傷ついてしまったのです。
その後は試食魔が来ていないのに、また来るのではないかと怯えるようになってしまい、
私は、販売員としての仕事に一時期やり甲斐を持てなくなってしまったのでした。
快活な運転手さん
私は、試食魔さんの事をきっかけに自分の接客に自信を無くしておりました。
(あっ…お客様機嫌悪いかな?)
自身が接客中にお客様の表情が少しでも悪く変わると、まるで心臓をギュッと掴まれたような感覚を抱いてしまうのです。
そんな苦しい日々が続く中、仕事の締めがかなり遅れてしまい、その日の終電を逃してしまった時があったのです。
(お金掛かるけど、自宅の最寄りの駅までタクシー使うしかないか…)
私は、出来るだけタクシーの利用料金が掛からないようにする為にそのように作戦を決め、駅からは歩いて自宅に向かうことにしたのです。
(おっ、ラッキー!)
私がタクシーを探し始めてから3分くらいで発見することができ、
私は「助かった」と思いながら自身の疲れた身体をタクシーの車内に押し込みました。
「どこにいきますか?」
活発な運転手さんの声。
私は、話しやすい運転手さんだなと思って少し笑いながら、
「××駅まで!」
と、元気よく答えました。
先程まで悩んでいた仕事の事も一切気にならなくなり、一目惚れとは違いますが、
何故かその運転手さんと話したいなという気持ちで一杯になったのでした。
「分かりました!」
見た目はお年を召した方に見えるのに、その運転手さんの声は、見た目に反してハキハキとした聞き取りやすい声でした。
(俺も見習わないとな…)
本当にそう思わせてくれるような感じでしたので、
私はつい、今悩んでいた試食魔さんの出来事を運転手さんに話してしまったのです。
「それは…大変でしたね…」
(あれっ?)
私が自身の悩みを運転手さんに打ち明けると、
先ほどまで快活に喋っていた運転手さんの声が少し落ち込んだように聞こえたのです。
真剣に聞いてくれているからだとは思いますが、それでも私は少し違和感を覚えました。
「運転手さんも何かあったんですか?」
そう言わずにいられなかった私がそう運転手さんに聞いてみると、意外な答えが返ってきたのでした。
説法は突然に?
「実はね、お客さん。私もつい最近クレームを受けたんですよ…」
「えっ!?」
私は、運転手さんの思ってもみなかった返しにびっくりしてしまいました。
「何があったんですか?」
私は、すぐさま運転手さんに聞き返しました。
「いやはや、何とも面白いことに私の声がでかいってクレームが会社に入ってしまったようで」
「はっ?」
私は、自身の耳を疑いました。そして、運転手さんは続けます。
「私が乗せたそのお客様は、40代くらいの女性だったのですが、そのお客様の声が本当に聞こえないものですから、走る道順を何回もこちらで確認する必要あったんですよ」
「右…」
「私は、そのお客さんの声が聞こえなくて、右ですか?と確認すると、そう言ってるじゃないといきなり声を荒げたんですよ」
「さすがに私も戸惑いましたが、何とか自分の正気を保ちながら運転してたんですけど、ついにお客さんからいきなり、止めて下さい、って声を荒げて言われてしまいまして。その後は、お金をムスッとした顔で払われて、そのままどこかに歩いて行ってしまわれたんですよ」
私は、その運転手さんの話を食い入るように聞いておりました。
「そうしたら、後日そのお客さんからクレームがあって、何でも声がでかくて非常に不快だったというお話だったらしいんですわ」
私は、その運転手さんの話を聞いて、心の底からそのクレームを入れたお客様に対して怒りの感情を持ちました。
「そんなのいくら何でも理不尽ですよ!」
私は、怒りに任せてそう言い放ちました。
しかし、運転手さんから返ってきた言葉は、私の耳が少し痛くなるような言葉でした。
「でもね、お客さんに怒りを覚えてしまうようなら接客業は向いてないと思いますよ」
「そっそれは…」
私は、またまた予想もつかなかった言葉に動揺してしまいます。
「ですから、お客さんもご自身が何の仕事をやっているか一度考えてみるといいですわ。接客なのかただ物を売っているかのか」
(そんなこと言われても、試食魔なんてただ一方的にあっちが悪いんだし…)
私は、心の中で納得いきませんでした。しかし、次の運転手さんの言葉で私の気持ちは一変したのです。
「ごめんなさいね!ほらっ、今お客さん嫌な気持ちになったでしょう?」
「えっ?」
私は、また動揺します。
「接客って自分がどんなに正しいと思っていても、お客さんの気持ちが悪くなったらダメなんですよ」
「だからお客さん、その後どう振舞うかはともかく、ご自身で感じた嫌な気持ちはしょうがないと思って割り切った方がいいですよ。お客さん自身は悪くない、ただその嫌な人に当たってしまっただけなんだってそう思いましょう」
私は、何故だか救われたような気がしました。
私にとって心地よい運転手さんの声もあってのことなのかもしれませんが、
私自身の心のモヤがふっと晴れたような感覚がしたのです。
「そっそうですね…」
私は、それだけ言って暫く黙ってしまいました。すると、運転手さんが
「いやいや、ごめんなさいね、この歳になると説教っぽくなっていけませんね」
「そんなことありません。運転手さんの声、私は好きですよ」
私は、自然にそんな言葉が出てきました。
「とんでもないことです、お客さんに説教したなんて事が分かったらまたクレームになってしまいます。私は、逆にお客さんの話し方を聞いていて、こんな風に喋れなきゃいけないんだなって反省しておりますよ」
私はそんな運転手さんの言葉を聞いて、改めて自身の接客の心構えについて反省をしました。
(よしっ、改めてお客様に合った接客姿勢というものを考えてみよう)
それからタクシーを降りて運転手さんにお礼を言った私は、そう心に決めたのでした。
最後に
以上ここまで、私の人生に気付きを与えてくれた私の実体験をご紹介させていただきました。
今では、私が悩んでいた試食魔さんの事も良い教訓になったと思っております。
もし、接客業をされている方や仕事上コミュニケーションが多い方がいらっしゃいましたら、是非今回のお話を参考にしていただければと思います。
diary.st著